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立喰師列伝 通常版立喰師列伝 通常版
(2006/09/22)
押井守山寺宏一

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 スカイクロラの広告をこちらにまわせよと、無粋なことを思わずにはいられない秀逸な作品である。まぁ、スカイクロラはスクリーンで見てのこそのものではあるんだけれども...

 『立喰師列伝』はありそうでなかった、「戦後の偽史」アニメである。デジタルカメラの実写映像を、3DCG加工した、いかにもな表現技法は副次的な表現にすぎない、って言い切ってもいいほど脚本構成が第一。

 押井氏は、「今まで自分が仕事を通じて関わってきた人々を、この映画で記録として残したい。それに、知っている人間じゃないと、CGでいじくるときにつまらない」と、うそぶいているけれど、押井氏がこれまでの作品で名作小説の引用をしてきたように、ここでは'70s~'80sの日本の小説構造に焦点をあてたようだ。

 それは、政治語りが希薄化したこの時期に、文壇で流行ったやりくちである。消費社会として虚構をあそびつつも、政治的脚色をほどこすもので、村上龍の『コインロッカーベイビーズ』などがその代表作。作家個人としては、村上春樹がもっとも確信犯的に用いた手法で、ねずみ三部作などに顕著に現れている。『立喰師列伝』でも、村上春樹の『パン屋襲撃』をパロって、テロリズムに結びつけているなど、おもわずニヤニヤしてしまう。

 立ち食いという、無意味で消費多寡な行為を、国会議事堂の前で行わせたり、ファーストフードを従来の食生活に対するテロとしたり、就職氷河期の若者にフランクフルトの夢をみさせたりと、「偽史」的なつくりこみがおもしろい。偽史アニメの代表作といえば、もちろんガンダムなのだけれども、ガンダムは「ありえない第二次世界大戦後」をSFという形で再構築している点で、全然ベクトルが違う。また、ガンダムの歴史は、連作によってデータベース量を増やすっていう手法でつくられていて、このアニメ的な切り口のあまさと比べると、『立喰師列伝』はとてもスマート。

 『立喰師列伝』は日本の戦後からの現在までを偽史として再構築した点で、映像表現として新しく、ストーリングテリングとしては古い。しかし、これを簡単に映像表現におとりこめるかってなれば、こんなことができるのは、日本では押井氏ぐらいだろう。50年というスパンを、パロディとして再構築して、90分に納めるという、信じられないような荒技をクールにやってのけている。

 最近は、ジャパニメーションに、無駄に経産省がガッツいてうごいていたりするのだけれど、実は、低予算の完全な国内むけアニメが一番のダークホースだったってこと。

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テーマ:アニメ - ジャンル:アニメ・コミック


















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